学会設立の趣旨
ウナギは有史以前から人々の心を魅了し続けてきました。
古代ギリシャの博物学者アリストテレスがウナギの繁殖の謎について頭を悩ませたのは有名な話です。以来、ウナギの不思議な生態について多くの研究が積み重ねられてきました。
また一方で、蒲焼きや燻製など、ウナギは人々の舌も虜にしてきました。身近な存在であるがゆえに人とウナギの関係は深く、言葉や芸術、信仰や伝説の世界にもウナギの姿を見ることができます。
しかし近年、その資源は大幅に減少してしまいました。そこで1998年、私たちウナギ研究者は、日本、台湾、韓国、中国の鰻業界の関係者とともに東アジア鰻資源協議会を立ち上げました。そして、会員間の情報交換を目的とした年会や研究集会など、ウナギ資源の保全と食文化の継承を目指してさまざまな活動を行ってきました。
しかしこの度、ウナギ研究のより一層の発展のために、東アジア鰻資源協議会を発展的に解消して、新たに東アジア鰻学会を設立することにいたしました。
本学会の目的は、自然科学、人文科学、社会科学など、あらゆる分野のウナギ研究の発展に貢献することです。これによってウナギの包括的理解とウナギの総合科学「ウナギ学」の確立を目指します。また、その過程で得られるウナギ研究の最新の知識を積極的に社会に普及することも目的としています。このため本学会は、年会や学術講演会の開催、会誌の発行、その他本会の目的を達成するために必要な事業を行います。
こうした活動が百年後のウナギ学の発展とウナギ資源の保全に繋がるものと期待しています。